【兄貴と政宗の真剣勝負 闘争編】

別名、佐助逃走編。





背後から物凄い殺気が二つ。

「待てやゴルァァァァァァァァ!!!」

すでに瞳が狩る者の目になっている。

しかし、佐助も譲るわけにはいかなかった。
自分には縁もないはずだった一泊二日。
まさか立ち聞きしてるだけで、チャンスが巡ってくるなんて。

(これを旦那と大将にあげたら二日はゆっくり休暇できるじゃん!?)

何かが間違っているような気もするが、今は深く考えまい。
佐助は追いすがってくる二人を一瞥する。

この調子じゃ簡単に逃げきれそうだ。
忍の身体能力を舐めてもらっちゃ困るな、旦那達。
大体、俺が天井に行ったら旦那達、手も足も出ないっしょ?

この屋敷の屋根裏はもう把握してるからね〜☆

二人の目の前で忌々しく手を振り、笑顔で上までドロンと逃走。
そして日没まで待てばいいわけだ。
ああ、明智の旦那。あんなに怖がってごめんな。あんた、やっぱホントはいい奴だよ。

佐助は珍しく調子に乗っていた。






一方その頃。

静かな雰囲気の喫茶店。
穏やかな音楽が店内を巡り、心地よい空気が身を包む。
元就は運ばれてきた紅茶に砂糖を入れながら

「光秀殿は温泉に興味ないのか?」
「温泉とかって・・・長時間お湯に使ってると手がシワシワになるから嫌なんですよ」

当然、とばかしに即答する光秀は
他の物には目もくれず「当店オススメBIGちょこぱふぇ」の攻略に勤しんでいる。
正直、さくらんぼの種が邪魔だ。

「成程」
流石、光秀殿。
納得したのか元就も黙り、こちらも「店長オススメけーきせっと」を崩しにかかる。

穏やかな癒しの空間。
二人は心地よい雰囲気に包まれながら甘いものを食い漁っていた。









足元に殺気。
ほぼ反射で佐助はその場を飛びのいた。

ガッ!

足元・・・先程まで立っていた位置に刃物が突き刺さっている。
手ごたえが無いとわかったのだろう、下で持ち主が舌を打ちながらズッ・・・と刃物を抜く。

また足元から殺気。
「!?」
慌てて飛びのくと、下から突き刺してくる鋭利な刃物。

「ハサミ・・・?」

まさしくそれは「高枝切りハサミ」だった。

「ちっ・・・また外したか・・・」

下では元親が忌々しく悪役くさい台詞を吐き捨てている。
ハサミといえど、凄い勢いで天井裏を突き破ってくる。

「こんなの刺さったら危ないでしょ!」
たまらず叫ぶと
「刺され!そして俺の為に死ね!」

俺はこの為にきっとこれを買ったんだぁぁぁぁ!!!

グザグザグザグザ!とハサミの応酬が襲ってくる。
しかもどんなに逃げても的確に追ってくる通販マニアの元親の野生の勘。

これはヤバイ、と判断した佐助が床下に下りるのも時間の問題だった。








一方その頃。
無機質な機械に吸い込まれていく貨幣。
そしてガチャンとレバーを時計回りにまわせば貨幣の代わりに丸い物が転がり落ちてくる。
それを手に取り、軽く捻れば中身が簡単に飛び出した。

「ああ、見てください。シークレットフィギュアの張コウ羽付きバージョンが出ましたよ」
「光秀殿はツイているな。福引も光秀殿が引けばよかった」
「後は董卓でコンプなんですけどねぇ・・・」
「あまり欲しくないな・・・」

今度は道端の200円ガシャポンに夢中だった。









「何なのよ、鬼の旦那は・・・野生の勘にしても酷すぎるっしょ・・・」
仮にも俺、忍なんだよー?気配くらい消してるっての。

なんとか元親を撒き、ふらふらと廊下を歩く。
今度は床下にでも潜ろうか・・・鬼の旦那は上に夢中だし。

ええっと、何処から床下に行けたっけ・・・
記憶を総動員して考えているうちに台所まで足を運んでしまった。

なんだかぼそぼそと声と不吉な音が聞こえてくる。



「いいか、行き先は讃岐だ讃岐。ということはうどんが美味いよな。
英語で言うならudonか・・・?いいな、きっと元就サンは一本一本食うに違いねえ。
あまりの可愛さに見とれる俺。それに気付く元就サン。
『どうした伊達、のびてしまうぞ』『ああ、いやな、元就サンが可愛いからよ』
そう言うと絶対照れるように顔を背けて『何をたわけた事を・・・』ちょっと赤面。
あーーーー!絶対こうだ!間違いねぇ!色々滾ってくるぜぇ・・・?」

ブツブツとまだ見ぬ夢の旅行について脳内妄想に夢中の様子。
しかし、その手元には・・・

しやーこ、しゃーこ・・・


まぁ、よく切れそうな包丁☆
それが研ぎ石によって磨かれている。



「やばい!ここの旦那達、本気で殺す気だ!!!」

佐助の背中に嫌な汗が流れる。
なんで前回は惚れ薬で殺されかけて・・・今回は温泉旅行で殺されかけなきゃなんないのさ!?
佐助の受難はまだ続く。




佐助カワイソス(・ω・`)
前回同様くだらない話を無駄に長くしてダラダラいきますよー?orz
うどん一本一本。この妄想を政宗に言わせたいが為に行き先が香川にorz
検索までしました。悔いはありません。