【元就の芽生えた恋心】


あらすじ
雑誌の胡散臭い広告の載っていた惚れ薬(定価800円)
兄貴はそれを元就にかけて幸せ薔薇ライフを送ろうとしたら失敗!
後、元就は兎が大好き!飼いたいみたい!以上!






佐助の長年のカンが非常警報を発している。
総員、一種戦闘体制に入れ!繰り返す!総員、第一種戦闘体・・・きゃー、た、退避ー!

さっきからこっちを潤んだ瞳で熱く見つめてくるのはこの屋敷で最も愛されている人。
熱に浮かされたようにぽーっとひたすら見つめてくる。

「ねぇ、毛利の旦那?どうしたの急に・・・」

視線が恋してる乙女みたいだよー?
冗談でそう言おうと思っていたのだが・・・

「へっ!?」

その言葉は発せられる事ができなくなった。
仮にも真田十勇士、しかもその長である忍に気付かれず懐まで潜り込んだ元就は
縋るように首元に腕を回したと思えば

ぶっちゅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん

無防備な忍の唇にオアツイ接吻をぶちかました。




その後の事は佐助はよく覚えていない。
どうやら「偶然」その場に居た元親が無理矢理元就を自分から剥がして助けてくれたみたいだが
口付けと一緒に酸素やら精気まで一緒に吸われてしまったのか記憶が飛んでいる。

ああ、何でこんなことになったんだろう?







「佐助よ!我の夢を聞け!未来予定図だぞ!」
「ああ・・・はいはい」
「日輪がよく当たる広い丘の上の庭付き一軒家・・・それが我らの新居だ」
「・・・はいはい」
「ペットに白い兎が3匹程」
「・・・うん」
「居間には暖炉があって、我はその前で編み物をしているのだ」
「編み物って・・・毛利の旦那、手先そんなに器用だっけ?」
「毛利の旦那ではない!元就と呼べ!そしてそなたの為にマフラーを編んでいたつもりなのだが
気がつけば手元に出来上がったのは何故か赤子の靴下!・・・意味分かるか?」
「い、いやぁ・・・俺、よくわからな・・・」
「その赤子は我とそなたの愛の結晶なのだぞ!?」
「いや、でも旦那も俺も男同士でしょ!」
「日輪の加護あれば性別なんかどうとでもなる!なんなら今から女体化してみせる!」
「やめてよ!本当にしそうでなんか怖い!」


ぎゃあぎゃあ。

さっきから1時間はこのような不毛な会話が続いている。
ああ、ホントだとこの可愛い純情で強引な想いは俺に向かうはずだったのに・・・
元親はひとつしかない瞳にこっそり涙を浮かべた。

佐助本人にとっては迷惑極まりないどころか
下手をしなくても恋多き己の主である幸村に恨まれそうな状況だが
元親にはそれが羨ましい以外の何者にも見えていない。

しかし、いい加減この状態を放っておくわけにもいかないだろう。
これだけ騒げば政宗や光秀にも感づかれる。

「なぁ、元就。佐助にも都合があるんだ。今日のところは一旦、帰ってもらって、な?
また明日話し合おう?いいだろ?」

所詮800円の薬だ。一日たてば効果は消えるに違いない。
そう思い、佐助にしがみつく元就の手をとろうとすれば・・・

「我に触れるな!」
我に触れていいのは佐助だけだ!と言わんばかしに威嚇してくる。
「大体貴様はさっきから我の邪魔をして・・・愛し合う二人を引き裂こうという魂胆か!!」

愛し合ってないから。それ、全然愛し合ってないから。

がっくりと元親がうなだれたその時、

ガチャン!

と、背後から何かの割れる音が聞こえてくる。
嫌な予感にゆっくりと後ろを振り向けば・・・

「・・・・・・・・・・・・」
顔面蒼白になった政宗が言葉もなく立ち尽くしていた。
おそらく元就と佐助の声を聞いたのであろう、
長居しそうだからと、気をつかって菓子と茶を持ってこようとしたのか
床には二人分の湯飲みの破片と茶菓子が散乱し、熱い茶が廊下を汚していた。

「は・・・ははは・・・元就サン・・・佐助と愛し合ってんだな・・・」

かすれた声でかろうじて紡いだ言葉。
今の彼の心情が読み取れるなんとも切ない言葉だろうか。

「あ・・・廊下・・・汚しちまったな・・・雑巾取ってくるわ・・・
湯飲みの破片も危ねえし・・・少しの間じっとしといてくれよ・・・?」

そのままフラフラと台所まで歩んでいく。

「鬼の旦那!なんか嫌な予感がする!早く独眼の旦那の後追って!」
「お、おう!」




あわてて元親が駆け寄るとそこには
果物包丁を首元に突きつけ、今すぐ自殺しようとしている政宗の姿があった。
「Good-bye・・・俺の人生・・・今からそっち逝くぜ・・・」
「逝くなーーーーーーーー!!!!」

慌ててその手から凶器を奪い、半分死んでるんじゃないかとまで思える政宗の頬を数発殴りなんとか目覚めさせる。

「だってよぉ・・・元就サンがあんなに幸せそうに・・・
きっと俺の手料理よりも佐助のオカン料理の方がいいって事で・・・
俺の存在理由が消滅5秒前43210はい、終わり・・・」
「だからって死ぬこたねーだろ!」
「どうせ、わしにはおふくろの味は出せぬわ!馬魔めが!」
「14歳くらいに幼児退行すんなって!いいから落ち着け!」

と今度は電子レンジの中に頭を突っ込もうとしている政宗を
寸でのところで引っぺがしながら元親は仕方なく事の成り行きを一部脚色して話すことにした。

「成程・・・じゃあの荷物が・・・」
「ああ、ネタのつもりで悪用するつもり無かったんだけどな。
大体、あんなの本気にするわけねぇじゃん」
「甘い匂いにつられて触れちまったのか・・・元就サン・・・」
「だからあれは元就の本心じゃねぇ。なんとか元に戻さねえと、本気で嫁ぎかねねーし
そんなことになったら、あの真田幸村が黙っているはずもねぇ」

町をあたり一面火の海にし、逃げ惑う住人達を尻目に嫉妬に狂う真田幸村。
「佐助ぇぇ!拙者を差し置いて!破廉恥であるぞ、このハレンチ学園父兄代表がぁぁぁぁぁ!!!!」
まさしく阿鼻叫喚、地獄より惨い現実だ。


「なんとか今日中に助けてやんないとな!」
「おう!」


今、ここにちょっと嘘臭い男の友情が芽生えた。


やっべ、暴走元就+傷心政宗楽しかったんで遊んでいたらネタがダラダラ流れてるだけになってる!!
つかこんなくだらんのに長い!長すぎる!!こんな長編やだ!!
次回で終わらせます・・・・・                      たぶん